大判例

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名古屋高等裁判所 昭和26年(う)113号 判決

昭和二十五年七月十八日附本件起訴状における公訴事実の記載によれば被告人は公に認められた場合でないのに拘らず昭和二十五年七月七日岐阜市安宅町二丁目十五番地の原審相被告人高井武雄方で連合国占領軍又は連合国占領軍要員の財産である米国製煙草ラツキーストライク一九一六箱(一箱二十本入)同フイリツプモーリス四箱(一箱二十本入)合計一九二〇箱を所持したものとせられており又昭和二十五年八月二十三日附本件追起訴状における公訴事実の記載によれば被告人は法定の除外事由がないのに拘らず右同日午前十時頃右原審相被告人高井武雄方で同人より公社の売渡さない製造煙草である右各米国製煙草を譲り受けて所持したものとせられており、又原審が右各公訴事実に対しその中被告人が原審相被告人より右各製造煙草を譲受けた点については犯罪の証明がないものとして之を無罪とした(この点については裁判が確定した)外その余の各公訴事実については夫々証拠を挙示して何れも之を有罪と認めたことが記録上明らかである。而して右起訴状における昭和二十四年十二月十五日政令第三百八十九号所定の所持の事実と右追起訴状におけるたばこ専売法所定の所持の事実とは刑法第五十四条第一項前段に所謂一個の行為にして数個の罪名に触れる場合に該り一罪として処断せられる関係にあることが明らかである。然るに原審検察官は右一個の犯罪事実について右起訴状及び追起訴状によつて二重に公訴の提起したこと即ち右起訴状によつて公訴の提起があつた事件について右追起訴状によつて更に同一裁判所に公訴を提起したことが明らかで右追起訴状による後の公訴の提起は違法なものといわなければならないので原審は刑事訴訟法第三百三十八条第三号によつて判決で該公訴を棄却し、刑事訴訟法第三百十二条第二項によつて別途に之に該当する事実について訴因の追加を命じた上その事実を認定しなければならないのに事茲に出づることなく漫然右違法なる後の公訴提起に依拠して右説示のように二個の所持の事実を認定したのは、その訴訟手続に法令の違反があつてその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかである。

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